2014年3月9日日曜日

大学生協のPCを買う前に知っておいて欲しいこと

今年も大学生協のPCを買うかどうかを迷う季節がやって来ました。
大学を受験するだけでも、受験料+宿泊費等で数十万円使い、めでたく受かっても今度は大学の入学金と授業料で80〜150万円の出費。そしてさらに畳み掛けるように20万円のPC!
しかも生協の広告には
  • 自分専用のPCが必要です
  • 大学生活で必要となるソフトが予めインストールされています
  • ◯人に1人が購入
  • ◯大生向けオリジナルパソコン。台数限定。ご購入はお早めに!
といった謳い文句。PCに詳しくない人が見たら生協のPCでないと勉学に支障をきたすのではないかと不安になるかもしれません。正直私もこんな風に書かれたら不安になります。
どうでもいいことですが、この広告は日本人の「皆同じであることが正義」とする心理をうまく利用した広告だと思います。この点に関して言えば生協はなかなか商売上手だなと感じます。本当にどうでもいいことですけど。

この不安から脱するために生協でPCを購入するわけです。そして数年経ってPCの扱いに慣れてきた頃に、「あんな高いものを購入する必要はなかった!」⇒「生協のPCはぼったくり」「家電量販店なら同スペックでもっと安く買える」という論理が成立するのでしょう。
ただこういった主張にどうも納得できないというのが、生協のPCについて改めて調べて思った私の感想です。


今回はなぜ高いのか?生協で買ったPCは壊れやすいのかetc...について考察したいと思います。

生協のPCは得なのか否かについては以前書いた『大学生協のPCはお得か?』を参考にしてください。


  • 生協のPCは高いのか?
正直に言って入学時に生協からおすすめされるPCは高いです。ただこの高いというのは、安いものを高く売る、ぼったくりという意味ではなく、ものが良いから高いのです。ロレックスの時計は高い、というのと同じです。
100均で時計が買えるからと言って、ロレックスの時計が100万円もするのはおかしいという人はまずいないでしょう。それくらいの値段するよねと思うのではないでしょうか?
生協モデルのノートPCに関してもこれと同じで、それくらいの値段はするよねといった値段です。

そのため私の感覚からすると、PCの扱いに慣れていない人が生協で売っている高価なPCを使っているのを見ると、小学生がロレックスを身につけているくらい不釣り合いな感じがします。

また入学時の生協PCの値段のインパクトが強すぎるせいか、生協で売っているPCは無条件で全て高いと思っている人がいますがこれは間違っています。確かに家電量販店でも売っているものだったら価格競争をしないので高いですが、メーカー直販モデル(HPやlenovo等)の場合値段は変わりません。
さらに大学には色々な分野・国籍の人がいるので、一般には流通していないようなLinux搭載モデルや、英語OS・英語キーボードといったPCも販売されています。生協のPCというだけで毛嫌いしないようにしましょう。
余談ですが生協のカタログには値段が6桁や7桁の商品が当然のように並んでいるので見ていてなかなか面白いです。

  • 同スペックのものがより安く買えるのか?
この点に関して最も誤解が多いように感じます。世間一般にスペックというと、価格.comでいうところの基本スペックの部分のことでしょう。

確かにこの部分だけを見るのだったら同じ位のものがもっと安い値段で買えます。ただ、デスクトップPCを購入するのであれば基本スペックの比較でも十分ですが、今問題にしているのはノートPCです。デスクトップとノートの最大の違い、それは持ち運ぶか否かです!!!

Q. PCを持ち運ぶと何が問題になるか?
A. バッテリーと重量

そして安いノートPCと高いノートPCの最大の違いがこの2点です。スペック表だと隅に地味に書いてあるこの2点が一番ノートPCの値段に影響します。
同じCPUのノートPC。左が14万円、右が6.3万円。

実際価格.comで絞り込んで見ればわかりますが、大学生協で売られているPCと同じくらいの重量、駆動時間、ついでにOfficeをつけると一番安いものでもそれなりの値段になります。

ただ、これだけの駆動時間が大学生に必要かどうかは別問題ですけど。そのへんのことについては『大学生協のPCはお得か?』を参考にしてください。

  • 壊れやすいか?
この点に関しては人それぞれと言ったところです。壊れる人は壊れますし、壊れない人は壊れません。より正確に言うと壊す人はどこで買っても壊します。
今どきの大学生世代は携帯・パソコンが当然のようにあった世代なせいか、PCを精密機器として認識していない感じがします。なのでまずはPCが精密機器だということを意識して扱いましょう。そうすればよっぽどのことがない限り壊れません。

パソコンバッグからPCをデスクに置くときにボンッと乱雑に置いたり、レポートが進まないからといってキーボードに八つ当たりしたり、TVの調子が悪い時は叩く理論をPCに当てはめる等の行為はしないようにしましょう。TV叩く理論は今時の子に伝わるのだろうか?
あと自転車のかごにノートPCを入れるのも避けたほうが良いです。ちょっとした段差でも結構な衝撃になりますから。
ついでにスマホに関しても彼氏・彼女とうまくいっていないからといって投げつけるのはやめましょう。当たると痛いし、壊れると懐も痛いです。

こんな感じで大学生のPCの扱い方がひどいからノートPCのなかでもトップクラスに頑丈なパナソニックのLet's noteが生協のおすすめとして出ているのではないかと思ってみたりみなかったり。

2015/3/11追記
PC入れるバッグと教科書入れるバッグは別にしたほうが良いです。教科書の重さは馬鹿に出来ないので一緒に入れているとPCが壊れます。同様の理由で、PCの上に教科書を平積みにするのもやめましょう。

  • 必要な性能
学部学科によりかなり違ってきます。理系でひとくくりにしても工学部と理学部では求めるものが全然違ってきます。工学部の人なら学部生でもCAD等を使うので大画面で処理能力の高いものが要求される(?)と思いますが、理学部の学部生だったらレポート・論文を書く程度の処理能力があれば十分です。
ちなみに学部レベルで出てくる微分方程式程度なら今時スマホですら処理できます。
文化系の学部に関しては私の専門外なので分かりません。ただ法学部の知り合いを見ていると、処理能力だけでいうならタブレットで十分でしょと思います。


大画面かつ処理能力が高い
ノートPCにこの条件を求めてはいけません。潔くデスクトップPCを使いましょう。

レポート・論文を書く
4万円くらいのノートPC(Office無しでの値段)でも問題ありません。むしろこの程度のことが満足に出来ないPCを探すほうが難しいです。


ちなみに生協の広告に、「卒業研究でも使用する」といったことが書いてあるかもしれませんが、別に自分のPCを使って高度な解析をするわけではありません。高度な解析を必要とするものは大学所有の高性能なコンピュータを使います。
卒業研究で自分のPCを使うことなんて家で卒論を進めるくらいにしか使いません。
そもそもまともな研究室なら一人一つのデスクとPCが与えられるのでPCを研究室に持っていく必要はありません。データの入ったUSBメモリを持って行くくらいです。DropboxやGoogle Drive等のオンラインストレージを利用するならUSBメモリすら持ち運ぶ必要はありません。

  • 必要なソフト
広告に書いてある大学生活で必要となるソフトというのはMS Officeのことです。学部学科によって必要となる専門的なソフトが生協PCだったら初めからインストールされているなんてことはありません。
一般的に授業で必要になる専門的なソフトウェアは授業中にインストールするか、インストール方法が書かれた資料を渡され事前にインストールしてくるように指示されます。


またOfficeに関しても大学によっては無料でもらえる場合もあるので自分の大学はどうなのかしっかり確かめましょう。

生協のPCを買う人はPCの扱いに慣れていない人なので、扱い方を学べるソフトが入っていたり、講習会があるかもしれませんが、それほどの価値はありません。
500円でわかるシリーズで十分です。というかこの内容のことすら十分に出来ていない人のほうが大多数です。せっかく高いMS Officeを使っているのに無料のOfficeでも出来る事しかしないのはもったいないです。機能はちゃんと使いこなしましょう。

ちなみに、Officeを使いこなしていない人というのはWordで文章を作っている時、ページを新しくするのにEnterを連打しているような人を指します。
え?それの何がいけないの?と思った人は基礎から使い方を学んだほうが良いでしょう。
ちょっとした技を知っているだけで他の人よりも大幅に楽ができるようになります。

500円でわかる ウィンドウズ10 (Gakken Computer Mook)

学研マーケティング (2015-08-31)
売り上げランキング: 2,222

500円でわかる エクセル2013 (Gakken Computer Mook)

学研パブリッシング (2014-01-17)
売り上げランキング: 4,339

500円でわかる ワード2013 (Gakken Computer Mook)

学研パブリッシング (2014-01-17)
売り上げランキング: 12,351

  • 実物を見よう
ノートPCはデスクトップPCと違い、カスタマイズ性は皆無です。
デスクトップPCの場合、キーボードやモニターなどに不満があったら、キーボードだけ、モニターだけを買い換えればいいですが、ノートPCの場合そうはいきません。キーボード、モニター交換=ノートPC本体の買い替えを意味します。こういったことは実物を見ないと判断できないのでちゃんと実物を見ましょう。
同じ性能のものが他と比べて1万円安かったとしても、キーボードの打ち心地が悪いと正直買う気になれません。
学生実験レポートでもA4で十数ページ普通に書きますが、自分に合わないキーボードでこれだけの文字数を打つのは辛いものがあります。

実物を見るときの注意点として、実物を見ても実際の重量はわからないということを知っておきましょう。家電量販店に並んでいるノートPCはバッテリーが抜かれているので実際よりも相当軽くなります。そのため重量に関しては実物を触っても分かりません。メーカー公表のデータをもとに、ペットボトルに水を入れてどんなものか確認しましょう。


  • 生協PCを買う人にありがちなこと 「買ったはいいけど使わない」
生協PCを買う人の多くは、大学に入学するまでに自分専用のPCを持っていなかった人たちだと思います。つまり今まで自分専用のPCがなくても対して困らなかった人たちだと思います。そういった人たちが自分専用のPCを持ったらPCの使用頻度が格段に増えるかというと、まずそんなことにはなりません。大学生になったら定期的にレポートを書かなければいけないので、多少は頻度が上がるでしょうが1日1回起動すれば良いほうです。
ちょっと今までの自分を振り返ってみて欲しいのですが、調べもの、地図、乗換案内、電卓、手帳、時計、ゲーム、友人との連絡、これらの多くはスマホで間に合っているのではないですか?
そうであるならば、生協PCの性能を十分に発揮できずに4年間の大学生活が終わる可能性が高いです。


  • 某大学の理学部化学科に属する私のPC環境
参考になるか分かりませんが。
デスクトップPC:
3年前に35000円くらいで自作。モニター等含めても5万円くらい。
OSはArchLinux。メモリは6GB積んでいるがメモリ使用料が1GB超えたことはない。
MS Officeなんて高級品は買えない(そもそも動かない)のでOfficeは無料のLibreOffice。だがMS OfficeでいうところのExcelにあたるCalcしか普段使っていない。MS Officeと多少の互換性はあるが完全互換ではないのでレイアウトが多少崩れる。
そのため、もしもらったファイルがMS OfficeのものだったらMicrosoft OneDriveを使ってPDFに変換している。OneDriveならば使用するOS関係ないし、無料だし、多少の編集もできるので私にとってはこれで十分。
文章書くときはTeX。ただし化学系のひとでTeXを使っている人は皆無。
今となっては、世間的に見れば低スペックだが、ゲームや動画編集等しない私にとっては十分な性能。あと3年は不満にならないと思う。

ノートPC:
E430cのなかでも再劣化モデルだと思う。2013年9月購入。37,120円。
メモリは6GBに増設。Windowsだと4GB積んでいないとストレス。Linuxなら2GBでも問題ない。
私が持っている唯一のWindows機。Chromebookを買ってからはほとんど使っていない。
Windowsでないと困る状況に出くわしたときだけ使用。

Dell Chromebook11
私が持っているのはメモリ2GBモデル。2015年8月購入。21,384円。
2万円台なのに10時間バッテリーというところに惹かれ購入。
私のようにWindowsやMacがなくてもほとんど困らない、というかLinuxでないと困る人にはChromebookはピッタリ。
ただ、WindowsやMacしか使ったことがない人には絶対薦めない。

タブレット:
Acer Iconia A200
2012年11月購入。16500円。主に過去問や講義ノート閲覧に使用。
教科書が高くて買う気がしないので、私は主に大学の先生の講義ノートを教科書代わりに使用しているのだが、この時にタブレットがあると便利。
日本だと質の高い講義ノートは少ないが、海外の大学だと教科書として十分に使える講義ノートが沢山ある。これで教科書代を10万円は節約できていると思う。


参考
平成22年度国立大学の授業料、入学料及び検定料の調査結果について
東京理科大学 平成26年度初年度納付金(学費)
青山学院大学 2014年度入学者初年度納付金(学部)
東京工業大学生活協同組合 新入生応援サイト2014年度版
推奨機種|阪大生向けパソコン|合格が決まったら 入学準備|大阪大学生活協同組合 受験生 新入生サポートサイト
平成26年度入学予定者のための九州大学の教育情報環境に関する情報