2013年2月27日水曜日

大学生協のPCはお得か?

以下の製品(生協製品除く)の値段は2013/2/26時点の価格.comの最安値です。

春先、大学新入生がネット上でよくする質問として
生協のPCはお得ですか?
というものがある。

この問の答えを考えてみた。


具体例がないと考えづらいので、とりあえず調べてみたら来年度の私の大学(理系)の生協おすすめモデルはPanasonic Let's note CF-AX2SD1TCというものらしい。
CF-AX2SD1TCで検索してみると生協オリジナルモデルということわかった。

スペック
OS:Windows8Pro 64bit
CPU:Core i5-3337U(動作周波数 1.80GHz、ターボ・ブースト2.0利用時は最大2.70GHz)
メモリ:4GB×1(空×1・最大8GB)
SSD:128GB
ディスプレイ:11.6型HD(1366X768)
無線LAN:IEEE802.11a/b/g/n準拠
Bluetoothv4.0
バッテリ駆動時間:約9.5時間
本体重量:約1.14Kg
Microsoft Office Professional 2013
ウイルスバスター4年版
パソコン学習ソフト
パソコンマナービデオ
4年間メーカー保証
4年間動産保証
インナーケース

価格で比較
上記の仕様で169,000円、プリンター(EPSON EP-805A)がついて189,000円だそうだ。
量販店モデルでスペックが近そうなのはCF-AX2SEGJRというので143,458円。
生協モデルとの主な違いはOSが Win8無印 であることと、Officeが Home and Business であることだ。
これにウイルスバスター3年分(8,800円)+1年分(4,000円)をつけて156,258円。量販店モデルのほうが12,742円安い。
ただOS,Officeの違いと、4年保証がないので一概にお得と言える程の価格差でもない。

ソフトウェアで比較
価格面のところでも書いたが主な違いはOSとOfficeだ。(パソコン学習ソフト、パソコンマナービデオはそこまで使えるソフトとは思えないのでここでは考えない。)
はじめにOSから比較してみよう。量販店モデルに入っているWin8 無印は「一般の個人や家庭で利用できる最低限の機能が搭載」、生協モデルのWin8 Proは「Windows 8にはないビジネス向けの機能が追加」されている。Proのほうがいろいろできるわけだが、ネットで「お得か?」と聞いているレベルの人が必要になる機能ではない。

次にOfficeを比較しよう。生協モデルのProfessionalには量販店モデルのHome and Businessにはない、データベースを作成するAccessとカタログ・チラシを作成するPublisherが入っている。しかし学生のうちに個人事業でも始めない限りAccessもPublisherも必要ないだろう。そもそも私はOfficeでWord,Excel,PowerPoint,Outlook以外を使っている人間を見たことがない。


ここまで考えると価格差は4年保証の有無といったところか。13,000円弱で1年保証が4年保証になるのがお得か否かは各人の主観によるのでなんとも言えない。
ちなみにヨドバシカメラでは購入金額の5%のゴールドポイントで5年間保証になる。ヨドバシは大抵の商品で10%のポイントがつくのでその半分を使うということ。17万のPCだとすると8,500ポイント使用することで5年保証になる。残りの8500ポイントでウイルス対策ソフトでも買えばいいのでむしろこっちの方がお得かな。生協のサポートより家電量販店のサポートのほうが良いとも思うし。


とまぁ生協モデルを基準にして考えたわけだが、これではネット上にあふれる既存の回答と大差ない。

この量販店モデルと生協モデルの比較は入学時に買ったPCを4年間使うことを前提にしているが、4年にこだわる必要はあるのか?
確かに生協モデルのスペックがあれば4年間使えると思うが、一般的な大学生にはオーバースペックだ。大学生が使うPCの用途なんてせいぜいレポート・プレゼン作成程度。要するにOfficeが動けばいい。そして今時のPCならネットブックを除き、まともにOfficeの動かないものなんてないだろう。
また生協モデルは持ち運ぶときのメリットである長時間バッテリーやら本体の軽さを売りにしているが、PCを大学に持ち込むことなんて滅多にない。そのため軽さなんて大したメリットでもなく、また充電するためのコンセントも用意されているため長時間バッテリーの必要もない。

さらにPCに関する有名な法則としてムーアの法則というものがある。これは「半導体の集積密度は1.5〜2年で2倍になる」という法則だ。もっとわかりやすく言うと同じ値段で1.5〜2年後には性能が2倍のものが買えるという事らしい。逆に考えれば現在と同じ性能のものが1.5〜2年後には半額になるということだ。


以上のことを踏まえ私の勧める購入プランは以下の2つ

その1:2年でPCを買い換える
入学時に8.5万円のPCを買い、2年後にまた8.5万円のPCを買う。ムーアの法則に従うならば入学時の17万円の生協モデルと同程度の性能が遅くとも2年後には半額の8.5万円まで下がる。正直今時のPCに8.5万円もかけたら十分4年間の使用に耐える気もするが。それでも生協モデルと同レベルのスペックが欲しいならばこのプランをおすすめする。
また4年もまともに使っていたらバッテリーなんてあってないようなものまで劣化する。

その2:ノートとデスクトップを買う。
PCでのレポートの作成や実験のデータを整理するときにおいて大きい画面は正義である。小さい画面で何度もWordとExcelのウィンドウを切り替えるなんて、効率の悪いことこの上ない。
また単純な処理能力で考えれば10万円のノートよりも5万円のデスクトップのほうが高い。高価なノートを学校に持っていくのが怖い人、PCを日頃必要としていない人はデスクトップだけでもいいだろう。実際、ノートPCは持ち運べるという利点があるのにデスクトップと同じように、固定した場所で使っている人のなんと多いことか。それならば始めから性能の高く、画面も大きいデスクトップを買ったほうが幸せになれる。


以上が私の考えだ。今回はOfficeにマイクロソフトのOfficeを使うことを前提にしたが無料のLibreOffice,OpenOfficeを使えばその分Office搭載モデルよりも性能の高いものが買える。実際私の友人にもLibreOfficeを使っている人もいる。知識のない人は結局有料ソフトの多数の機能を使いこなせないのでフリーのものでも十分足りるだろう。
ちなみに東工大の物理科の卒論にいたってはTeXという無料の論文作成のためのソフトを使うことが原則になっているらしい。グラフもExcelで書くと論文がチープになるから使わず、グラフを書く専用のソフトを使うらしいのでもはやOfficeの出番はなさそうだ。
東工大に限らず物理、数学系の学科ではTeXをよく使う。TeXはWordに比べて数式がとてもきれいにかけるからだ。そのためWordで書かれた汚い数式だと読む気もしなくなる先生がいるとかいないとか。

とりあえず入学前にPC購入を考えている人はそんなに急がなくてもいい。入学後購入したって遅いことはない。むしろ入学してから本当に高額なPCが必要か見極めてから購入するべきだろう。

参考
コンピュータの50年
論文制作 - 東京工業大学物理学科

2013/3/6 追記
Ascii.jpにAX2に関する記事がありました
新「レッツノート AX2」が見せるモバイルPCの新境地
やはり初心者向けと言うよりビジネスマン向けのようです。PCを持って、こんなにアクティブに動く大学生なんてそうそういないと思うのですがどうなんでしょう?
ついでに地図を確認するなら1.14kgもあるPCを取り出すよりも、100gちょいのスマホを取り出したほうが手軽だと思うのですが。。。

2015/1/4 追記
各学部学科で必要になるスペックは、九州大学が公開しているパソコンスペック表が参考になると思います。さすがにPC必携化にした大学だけあって、どこよりも詳しいです。
平成26年度版
平成27年度版